【特集】COMME des GARÇONS の魅力に迫る Part 1.「川久保 玲」- コム デ ギャルソン社を牽引する社長兼デザイナー - 彼女が手がける全9ブランドを紐解く

コム デ ギャルソン社のなかでも、会社を牽引する柱となるデザイナー、川久保 玲。

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1969年に川久保氏がコム デ ギャルソンの名称で婦人服の製造と販売を開始。1973年にブランド名と同じ社名で会社を設立しました。1975年に東京で初のショーを行い、1981年にパリに進出。パリでの最初のコレクションはセンセーショナルで、賛否両論でした。華やかなデザインが主流で黒が敬遠されていた時代に、穴があき、女性らしいシルエットとはかけ離れたルーズで真っ黒な服 (通称 : ボロルック) を発表し、社会に流されることのない自立した女性を表現しました。従来の服飾の概念を崩したアバンギャルドで斬新な表現手法は「黒の衝撃」と言われ、「新しい美しさの提案」と称賛する人もいれば、「西洋の服への冒涜」と完全に否定する人も多くいました。しかし、徐々にクリエイティブな若手デザイナーから受け入れられていき、ヨーロッパのハイブランドが持つエレガンスやクラシックとは全く別の服の可能性を感じさせました。


© Fashionzine / http://fashionzine.jp/comme-des-garcons-16brands/


私たちが何気なく着ている黒を着るのは当たり前で、むしろモードには欠かせません。そんな黒の概念を作り出したのは、日本人の川久保 玲なのです。


そんな川久保氏が2016年10月の時点で手がけているブランドは全部で9つ。


1. COMME des GARÇONS

1969年創設。川久保氏のクリエーションが最も純粋な形で表現されているラインで、コム デ ギャルソン社のトップといっていいブランドです。


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(人は寒さと異性の目から身を守るために服を発明しました。それが服の原点です。2017春夏のコレクションで川久保氏はその原点に立ち帰り、その意味を問い直しました。そうして出した答えが「見えない服」。これは肉体を露出する服のことではなく、その逆で、肉体を守り、覆い、寒さと他人の視線から守るという本来の役割に徹した服のことです。ランウェイに登場したモデルは全員、ボリューミーな布地に包まれ、そのボディラインを消されました。それは肌を露出することで男性をを挑発してきた既成のファッションに対する川久保氏の挑戦だと感じ取れます。)


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© Condenast Japan / http://www.vogue.co.jp/popup_collection/comme-des-garcons/16aw-rtw/runway#1


コム デ ギャルソンのアイコンともいえる水玉、チェック、花柄やレースなど、甘く可愛らしい要素が先鋭的な表現の一部となるのも特徴的。


2. COMME des GARÇONS COMME des GARÇONS

1993年創設。川久保氏の変わらずに好きなものがベースとなって表現されています。生産は日本と海外 (フランス、ブルガリア、ハンガリー、トルコなど) で約半分ずつです。


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ナチュラルで、落ち着いた服が多いので、日常生活に取り入れやすいです。

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(2016春夏 - 軽量感が導く朗らかな春)


川久保氏のベーシックともいえるスタイルを提案するブランド。

3. COMME des GARÇONS HOMME PLUS

1984年創設。川久保氏がデザインを手がけるメンズブランドです。メンズの基本を押さえながらも既存のものにとらわれない遊び心にあふれたデザインが特徴。


1984年にパリで最初のショーを行いました。当時はいかつい肩とウエストをシェイプしたシルエットが主流でしたが、川久保氏は肩の力の抜けた、ゆるやかな服を提案。その姿はメディアから、「自由を着る男たち」「戦争をしない男たち」と評されました。


以降、紳士服の基本を崩すことなく、その枠組みを超えた新しいスタイルを提案しています。ジャケットの裏側の縫製をそのまま表にしたデザイン、異素材の組み合わせ、パッチワークやフリルなど、レディースと同じく実に多彩な手法で毎回斬新なスタイルが打ち出されています。


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(2017春夏のテーマは「The King Is Naked」。裸の王様をモチーフにした透明なアイテムを展開しました。コートを纏いながらも裸でいる状態。)


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(2016秋冬 - 戦えない甲冑)


4. COMME des GARÇONS HOMME DEUX

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1987年創設。「日本製の日本人のためのビジネススーツ」としてスタートしました。スーツを中心に展開し、素材から仕立てまで正統派にこだわったもの作りが特徴です。コム デ ギャルソンらしく、ビジネスとアバンギャルド (前衛・革新) を両立させています。


5. COMME des GARÇONS SHIRT

1988年創設。シャツというオーソドックスなアイテムならではの可能性を追求します。初期はシャツのみ展開していましたが、現在はパンツ、ジャケット、シューズ、バッグまでアイテムの展開を広げています。


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(2017春夏 - コラージュで作る視覚的な楽しみ)


シャツ本来の形を崩すことなく、バリエーション豊かなデザインのシャツを数多く生み出しました。中でも「FOREVER (フォーエバー) 」と呼ばれるラインは、高級コットンを使用し、素材や縫製、共に徹底したこだわりを見せ、「シャツのシャツ」とも言われています。


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6. PLAY COMME des GARÇONS

2003年創設。コム デ ギャルソン初のワンポイントプランドで、「デザインしないこと」がコンセプトです。PLAY という言葉には「遊びましょうか」という意味も込められています。


ワンポイントは、まるで川久保氏の目のような、強い視線が描かれたハート。ポーランド人のグラフィックデザイナー、フィリップ・パゴウスキーがデザインしました。


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Tシャツ・ポロシャツ・シャツ・ニット・スニーカーとあらゆるアイテムを展開。あくまでもベーシックでシンプルにこだわるラインのため、型は常に同じものを使用しており、価格にも反映されています。男女兼用で、サイズ展開も豊富。キッズ用も販売しています。


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(カラー展開は、赤をメインに、黒、緑などがあります)

最近では観光客のお土産として人気が高く、PLAY の売り上げが株式会社コム デ ギャルソンを支えているといっても過言ではありません。

7. BLACK COMME des GARÇONS


世界不況をもたらしたリーマン・ショックに対応すべく、エマージェンシーブランドとして2009年に創設。当初は期間限定で展開されていたラインでしたが、人気のため継続になりました。


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コム デ ギャルソンのアイコン力ラーといえるブラックをメインにアイテムを展開。ブラックを引き立てるホワイトやレッド、ゴールドも使われています。


BLACK で展開するアイテムは通常とは異なった生産体制を行っているので、手頃な価格を実現させています。

8. The Beatles COMME des GARCONS

2009年創設。オノ・ヨーコからの呼びかけをきっかけで、コラボレーションへ至りました。「コム デ ギャルソンによるビートルズ」をコンセプトに、ビートルズのロゴや過去のアルバムをモチーフにしたTシャツ・シャツ・バッグ等を展開しています。


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バッグの素材は動物愛護のため、本革を使用していません。これはビートルズのメンバーであるポール・マッカートニーの意向によるものです。そのためポリ塩化ビニールや、ポリウレタンを使用して、レザーにはない軽さを実現しています。形状がリズミカルなボート型なのも特徴的。


DSMG E-SHOP / http://shop.doverstreetmarket.com/jp/comme-des-garcons/beatles-cdg/beatles-cdg-t-shirt-white


ビートルズのアップルのロゴとコム デ ギャルソンのアイコンともいえる水玉をグラフィカルにデザインしています。

9. Wallet COMME des GARÇONS

財布に特化したブランドとして発足。牛革の中でも最高級であるカーフレザーを使用しています。鮮やかなカラーリング、クローバーや数字をつかったポップな型押しで、これまでの財布のイメージを一新しました。


© Condenast Japan / http://gqjapan.jp/fashion/wardrobe/20121218/mbcase

(長財布、折り財布、小銭入れ、カード入れなど、財布類だけでなく、iPadケースも展開)



© Fashionzine / http://fashionzine.jp/comme-des-garcons-16brands/


財布の原型は変えずに、カラーや型押しのパターン、ステッチの違いなどで、毎年新鮮なデザインを提案しています。


「自由と反骨精神」を源に今もなお成長し続けるコム デ ギャルソン。「自由を愛する」「既存の常識を打ち破る」というテーマを元にデザインされており、コム デ ギャルソン特有のクセのある強烈な個性を感じ取れます。


Part 2 では、コム デ ギャルソン社の副社長でもある渡辺 淳弥 (ワタナベ ジュンヤ) と彼が手がける4ブランドを特集します。



COLLECTION

東京のストリートスナップ & トレンドニュースを発信 / fashion snap & trend news from Tokyo, Japan — est. 28/Apr/2014

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